プレスリリース作成ノウハウ

情報変換の原則

いの一番に肝に銘じていただきたいことは、「マスコミの方々はあなたの商品の宣伝はしない」ということです。

A新聞社の記者さんに直接聞いた話では、「経済部に配属された新人が、まず最初に叩き込まれることが、『企業の宣伝担当になるな』」ということだそうです。

B新聞社の記者さんからは、

「宣伝してほしければ、お金を払って広告してください」

と痛烈に言われました。

つまり、「あなたが商品を売ろうと思ってプレスリリースを書いても、そのままでは取り上げてもらえない」のです。

「おいおいこのホームページは『広告費ゼロでマスコミに掲載し、売れ続けるしくみをつくる』ノウハウを教えてくれるんだったんじゃないのか?、商品を売ろうと思って書いてもダメなんだったら、どうすりゃいいんだ?」という声が聞こえてきそうですね。

その答えは、「宣伝をしない」ということです。

C新聞社の記者さんからは、「あなたの商品のどこにニュースバリューがあるんですか?こんなプレスリリースはもう送ってこないでください」と罵倒されました。

この言葉にヒントがあります。つまり、

マスコミの方々は、「宣伝」はいらないんですが、「ニュースバリューのある情報」は欲しいんです。「宣伝」は忌み嫌いますが、「情報」は喉から手が出る程、欲しいんです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

プレスリリースで、「自社商品を『宣伝』する」ことをやめ、「自社商品が世の中にどう役に立つのか、どんなところが他の商品ではできないのか、どうして今この商品が世の中に必要なのか」、という『情報』に変換することです。

いわば、PR担当として自分の意識を、自分勝手な欲望が中心の天動説から、マスコミ・世の中のニーズが中心の地動説に転換すること、これが決定的に重要なのです。
このことを意識するようになってから、私とマスコミの方々との関係は劇的に変わりました。「自社商品を売り込む側/売り込まれる側」という関係から、「自社商品というネタで一緒に世の中の役に立つ情報を提供していく同志」に変化していったのです。

そして、徐々に、気軽にメール・携帯電話で連絡を取り合え、時間が合えばお会いできる仲になり、コンスタントに記事を掲載していただけるようになっていったのです。

ヘイヘイホー(Surprise:意外性・希少性・独自性)の法則

これも、B新聞の記者さんに教えていただきました。

「僕たちが、思わず『へえ』『ほお』と思うようなネタを持ってきてください」

PR・広報の教科書的に言うと、「新奇性」とか、「独自性」、「希少性」、「トレンド性」、「公共性」、あるいは「業界初」、「業界NO.1」・・・ということになりますが、なかなかいっぺんに全部覚えられませんので、シンプルに「ヘイヘイホーの法則」と覚えてください。

B新聞の別の記者さんからは、

「そのネタのどこがすごいのか、一言で言ってください」

と言われました。

両方の話を組み合わせると、「一言で、思わず『へえ』『ほお』と思うようなネタ」を提供しないと、「取り上げてはもらえない」ということですね。

「でも、ウチのネタはそんなに大したことないからなあ」と思った方はいらっしゃいませんか?本当にそうですか?自社商品のすごさをわかっておられない社長がよくおられます。

「こんなことはウチの会社では当たり前だから」とか「ウチの業界ではどこでもやっていることだから」とか・・・でも、同業他社あるいは世間一般では『当たり前』ではないかもしれないんです。もしそうだとしたら、立派に『ヘイヘイホー』ネタになりえるんです!

あるいは、今そんな『ヘイヘイホー』ネタがないなら、つくってしまうことはできませんか?少し見方を変えるだけで、御社の商品が『日本で唯一の~』とか「関西で初めての~」とか、言えるところはありませんか?もちろんウソは絶対にいけませんが、切り口を変えるだけで、思わず『へえ』『ほお』と思ってもらえる可能性は十分あると思いますよ。

私が経験した事例でも、当初「関西地域リーグのサッカー選手が~」と書いていたプレスリリースのタイトルを、「Jリーグをめざすサッカー選手が~」と変えて、新聞に大きく取り上げていただいたことがあります。(関西地域リーグというのは、実力的にはJ1より4ランクも下のリーグなんですけどね)

タイトル表現の工夫ひとつで、『へえ』『ほお』と思ってもらえることもあるんですね。

でも、「何を書けば、『へえ』『ほお』と思ってもらえるのかわからない」という方もたくさんいらっしゃると思います。

とにかく、毎日毎日、新聞をよく読み、テレビをよく見、スマホのニュースアプリをよく見てください。

どんなネタが取り上げられているか、どんなところが『ヘイヘイホー』ポイントだったと思うか、自分自身は一読者として記事を見て、どんな記事を思わず読んでしまったのか、どんなところに『へえ』『ほお』と思ったのか、意識して見てください。特に、自社商品を取り上げてほしい新聞、テレビ番組、雑誌、WEB等を集中してみてください。

そのうち、どんなネタをどんなタイトル表現にして打ち出せば、マスコミに取り上げてもらえそうか、見えてくると思います。

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」です。

ニュース(時流性・季節性)の法則

考えてみれば、至極当然なのですが、

「ニュースは、NEWS」、すなわち、最新の情報でなければいけません。

駆け出しの頃、商品開発部の都合で広報担当の私への新商品情報が来るのが遅れ、新商品が発売になってから2週間も3週間も経ってからプレスリリースを出して、よく記者さんにあきれられました。

どんなに良い商品でも、世界初・唯一無二の革命的な商品でもなければ、そんなプレスリリースが取り上げられることは絶対ありません。

スピードが命なのです。

腐った魚は食べられないのです。

そんな時は、そのタイミングでプレスリリースを出すこと自体が逆効果です。「こいつ、PR・広報のことがわかっていないな」と思われ、最悪の場合ブラックリストに載せられ、次からは名前を見ただけでプレスリリースをゴミ箱に捨てられてしまうようになるかもしれないのです。

そんな時は、時期を待ちましょう。その新商品関連のイベントをするとか、その新商品のキャンペーンをするとか、新商品がらみの別のネタを創り出し、そのネタを実施するタイミングでリリースするのです。そうすれば、自然な形で新商品の情報を提供できるでしょう。

錦の御旗(Social:社会性・公共性)の法則

3つ目の法則は、「大義名分」です。単なる一民間企業の新商品、それだけでは、単なる「広告」です。「情報」ではありません。それを「情報」として掲載してもらうためには、「広告」を「情報」に変換してもらわなければいけません。それには「大義名分」が必要です。

たとえば、その新商品が「プラスチック廃棄物を削減できる」とか「認知症に効果がある」など社会問題の解決につながるのであれば、「大義名分」にはもってこいです。そこまでいかなくても、「低糖質のお菓子」とか「究極の高級生食パン」「タピオカドリンクの決定版」などトレンディな商品も「最新消費トレンドの紹介」として「大義名分」になりえます。

要は、マスコミが社会の公器、公共の電波を使って取り上げるべき、という「錦の御旗」が大切なのです。これがないと、新聞社のデスク、テレビ番組のディレクターから却下されてしまいます。

何の大義名分もない自己都合だけのプレスリリース、これは「やってはいけないプレスリリースのタブー」です。

ドラマ(Drama:物語性・人間性)の法則

そして、これら「ヘイヘイホーの法則」「ニュースの法則」「錦の御旗の法則」をパワーアップするのが、「Drama:物語性・人間性」の要素です。マスコミが大好きな人間ドラマの要素を加えることで、「情熱大陸」「プロフェッショナル」「カンブリア宮殿」「逆転人生」への道が開けます。

Local(地域性)・Merit(実利性)の法則

マスコミ掲載のショートカット(近道)、1つ目は「Local(地域性)」です。地域に密着したネタは、ネタ不足に悩む地方紙や地方テレビ局から歓迎されます。遠慮せずにアプローチしましょう。

2つ目は「Merit(実利性)」です。代表的なものは「読者(視聴者)プレゼント」です。何か提供できるものがあれば、マスコミに積極的に提案しましょう。ターゲットが合致していれば、絶対に嫌がられることはないと思います。

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