2024年3月27日の朝日新聞デジタルほか、日本海新聞、山陰放送に、スクールドッグ普及に取り組む「ソーシャルアニマルボンド」が取り上げられました。
ソーシャルアニマルボンドのホームページはこちらです
https://www.social-animal-bond.jp/
日本スクールドッグ協会のホームページはこちらです。
https://schooldog.jp/
【概要】
取り上げられたきっかけは、八頭町社会福祉協議会(鳥取県八頭郡八頭町、担当者:松原 勇作⦅まつばら ゆうさく⦆)と動物介在活動の普及と啓発を行っている一般社団法人日本スクールドッグ協会(岡山県西粟倉村、代表理事:青木 潤一⦅あおき じゅんいち⦆)が、2024年の2月2日(金)より地域での新たなコミュニティ作りを目的として開始した「ほっと×Dogプロジェクト」です。この事業は、地域の中に住民の新たな「居場所」の形を創出するため企画されました。毎月2回程度(14:00〜16:00)の活動を行い、犬の生態や犬とのコミュニケーションの取り方をハンドラー(注)の青木がレクチャーします。また地域の子どもからお年寄りまでの幅広い世代の参加者同士で一緒に犬と遊んだり、散歩をしたりすることで、リラックスしながら交流できる環境を提供します。
注:犬のお世話や躾、また参加者の犬との関わり方をサポートする役割を担う専門のスタッフ。
【実施の背景】
社会が多様化複雑化する中で日常生活を行う上で様々な困りごとが増加しています。このプロジェクトでは、引きこもりや不登校といった社会的に孤立している方から、障がいをお持ちの方、また子どもやお年寄りまでの幅広い世代の住民が集える「癒しとふれあいの空間」を創出します。犬と触れ合う中で、心の安らぎや他者とのコミュニケーションの機会を作ることが目的です。今後は塩上(しおのうえ)改善センター(鳥取県八頭郡八頭町万代寺2−2)を活用しながらスクールドッグ(犬)を介在させて月2回程度の交流会(動物介在活動)を実施する予定です。
【動物介在活動(AAA:Animal Assisted Activity)とは】
動物とふれあうことによる情緒的な安定、レクリエーション・QOL(注6)の向上等を主な目的としたふれあい活動の総称。(参考:公益社団法人日本動物病院協会HPよりhttps://www.jaha.or.jp/hab/capp/)
注6:Quality of life(クオリティ オブ ライフ)は「生活の質」「生命の質」などと訳される。
【なぜ、今「動物介在活動」なのか?】
(子どもの幸福度調査に見られる日本の現状)
2020年に行われたユニセフによる各国の子どもの幸福度ランキング(ユニセフ・イノチェンティ研究所が2020年9月3日に発表した報告書『レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か(原題:Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countries)』)では、日本の子どもたちの「精神的幸福度(生活満足度と自殺率の2つの指標より算出)」が38か国中37位という低い結果となりました。
(不登校の増加)
2022年度の小中学生の不登校生の数は29万人9000人で6年連続で過去最多を更新しています(令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要:文科省、2023年10月4日)。
(引きこもりの現状)
また、内閣府は2023年3月31日、に『2022年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」の結果』を公表し、引きこもり状態にある人は、15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%おり、全国の数字にあてはめて約146万人と推計しました。このことは、不登校などの学校の問題が一過性のものではなく、その後の引きこもりや社会的な孤立などの問題にも繋がっていると考えられます。
(高齢単身者の増加)
子どもや若者たちが孤立する一方で、高齢単身者(65歳以上の単独世帯)の数は、303万2140人で,平成7年に比べ82万9980人(37.7%)増加しました。また、高齢単身者が65歳以上人口に占める割合は13.8%と平成7年(12.1%)に比べ拡大しており、とくに65歳以上の女性の5.6人に1人は単身者という結果になっています。(総務省統計局より)
このように、地域の人々のコミュニティのあり方や課題等は決して特定の世代に限られたことではなく、包括的・重層的なサポートが必要です。
【スクールドッグ(犬)が果たす役割】
立教女学院小学校(吉田 太郎⦅よしだ たろう⦆先生(注8))で本格的に実施された動物介在活動。「学校に犬がいればいいのに」と言った一人の小学生の言葉(出典:『「ありがとう。バディ」 学校犬、その一生の物語』/セブン&アイ出版/吉田太郎)から始まったこの活動が、学校の枠を超えて多くの人たちの心の支えになっています。
注8:現在は東洋英和女学院小学部部長(校長)。2003年より、当時勤めていた立教女学院小学校で動物介在活動を実施。著書に、『子どもたちの仲間 学校犬「バディ」』(2009年、高文研)『ありがとう。バディ』(2015年、セブン&アイ出版)『奇跡の犬、ウィル』(2016年、セブン&アイ出版)『学校犬バディが教えてくれたこと』(2016年、金の星社)がある。
2020年に麻布大学の「ヒトと動物の共生科学センター」において、犬の飼育で思春期の子どもたちのメンタルヘルスが改善されることが報告されました(犬と猫の飼い方は青少年の精神的健康を予測する: 人口ベースの縦断研究:麻布大学、2020年)。
また、高齢者が生き物と暮らすことのメリットや学校での子どもたちのストレス軽減にも役立つことなどが報告されています。
(PEDGE HPより:https://pedge.jp/senior/)
(わんちゃんホンポHPより:https://wanchan.jp/column/detail/33967)
(東洋経済ONLINE HPより:https://toyokeizai.net/articles/-/668489?display=b)